国連女性差別撤廃委員会への拠出停止の撤回を求めます

2025年2月10日

外務大臣 岩屋 毅 様

国連女性差別撤廃委員会への拠出停止の撤回を求めます

 1月29日、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)が、対日審査最終見解において、皇室典範改正を勧告したことに対する措置として、同委員会を日本の拠出金の使途から除外することを国連側に伝えたとの報道がなされました。
 皇室に関する事柄は、普遍的人権の対象外であり、CEDAWが触れるべきではないという政府の主張は、日本国内においてしか通用しないものです。今回の政府見解は、性差別撤廃に向けた国際基準との大きな乖離を示しています。
女性差別撤廃条約2条は、性差別となる国内法の改正を求めています。「男系男子」の皇位継承を定めた皇室典範は、明らかに性差別であり、改正の勧告は、批准国として受け入れ検討するのは義務だと考えます。
 今年は、国連主催の第4回世界女性会議が北京で開催されてから30年目を迎えます。3月にはニューヨークで第69回国連女性の地位委員会主催の国際会議が開催され、「北京+30」をテーマに各国政府が30年間のレビューを報告することになっています。
 このような女性の人権にとっての重要な年に、日本政府の今回の決定は極めて遺憾であり、即撤回を求めます。また条約批准国として、勧告を速やかに実施することを求めます。

 私たちは、北京世界女性会議以降、『北京行動綱領』の日本国内での実現に向けて30年間、活動を続けてきました。
 ご周知のように、「北京行動綱領」は、性差別をなくし、女性の基本的人権を確立することが環境、開発、人口、平和などの解決には不可欠であることを明記した包括的国際文書であり、政府が取り込むべき行動指針です。
 これは、日本の女性たちを含めたNGO、市民社会が策定に関わり誕生したものです。
 しかし、この行動指針への、日本政府の取り組みが、30年間、決して十分ではなかったことは、ジェンダーギャップ指数が示しています。
 今回の決定に対しする説明責任を果たすためにも、今後、CEDAWの勧告及び「北京行動綱領」を実施し、性差別解消を進めるために、市民社会との開かれた対話の場を設定することも強く要望します

北京JAC(世界女性会議ロビイングネットワーク)